受験生という「臨界期」

今、この時期に最も伝えたいことは「挑戦することが力を引き出す」ということです。

誰もが潜在的な力を持っていて、その可能性を引き出せるかどうかは自分しだいです。

「自分があの大学を目指すなんてとても無理」

と最初から決めてかかっていないでしょうか。

自分の偏差値よりもはるかに上の大学を目指すことに抵抗感を抱く人もいるかもしれません。

でも、本当はめざしたいのに今の実力だけを見て自分の中で妥協してしまうことは、自分の可能性を狭めてしまうことになります。

「実現できるかどうかわからないけれど、自分がどこまで出来るのかを試してみたい」という純粋な気持ちを大切にしてほしいと思っています。

受験生というのは、ものすごい可能性を秘めた時期です。

今まで大きなことに挑戦したという経験がない人も、受験を人間として大きく成長するためのチャンスととらえてほしいと思います。

「成績を上げること」や「大学に行くための手段としての勉強」という狭い範囲でしか物事をとらえられないと、受験は無味乾燥で意味のないものになってしまいます。

「毎日身の回りで起こる出来事が自分に何を教えてくれるために起こったのか」を考え、真摯に向き合って克服していく中で成長していくことが、受験をすることの意味です。

充実した実りの多い期間にするために、できる限り達成が困難なことにチャレンジしましょう。

ただ何となくみんながやっているから受験勉強をする、というのは大変もったいないです。

こんな話があります。

今から約30年前に、ウィーゼルとヒューベルという科学者によって、子ネコに目隠しをして、何も見えないようにするという実験がおこなわれました。

生まれたばかりの子ネコを45日間、目隠しをした状態で育てます。

それから目隠しをはずすと、どうなるでしょうか。

なんと、この子ネコは一生目が見えなくなってしまうのです。

ネコの目の神経細胞は、生後45日間の間に光の刺激を受けないと、正常に発達しなくなります。

その後はいくら光の刺激を受けても手遅れになってしまうのです。

こうしたことは、他の動物でも起こることがその後、確認されました。

ネコに関しては、45日間を境にして、見えるか、見えないかということが決まってしまいます。

これをネコの目の「臨界期」といいます。

さて、この「臨界期」というのはどんなことにもあてはまるのだと思います。

受験生というのは最も感受性が豊かな時期です。

最も感受性が豊かな時期だからこそ、今でしかできない経験が、今しかできない成長を生み出してくれます。

1つ1つのことを達成していく自信が、さらに次の目標を達成するための力になります。

受験期に友人同士で高めあったこと、授業で新しいことを知って感動したこと、英語長文や現代文や古文で出会った文章が、その後の人生を大きく支えてくれる力になります。

自分の人生を変える激動の充実した期間にするために、最大限の挑戦をしましょう。

生まれたばかりの子ネコの目に光をあてなければならないように、今しかできないことに挑戦してみてください。

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