サピエンス vs ネアンデルタール

なぜネアンデルタール人は絶滅し、我々ホモ・サピエンスは生き残ったのでしょうか。

ネアンデルタール人の最大の特徴は、強靱な肉体です。

筋肉隆々で、マンモスやバイソンなど大型動物を狩る屈強なハンターでした。

さらに近年、新発見が相次ぎ、頭蓋骨の大きさなどから言語を操り、高度な文化を持っていた可能性が高いことも明らかになりました。

しかし、体力と知性を兼ね備えながら、およそ四万年前に絶滅しています。

一方、ネアンデルタール人に比べると、私たちホモ・サピエンスは華奢でひ弱な存在でした。

小さなウサギや鳥を狩ったりして細々と生活していたと考えられています。

なぜ、我々の祖先であるサピエンスが生き残ることができたのでしょうか。

その答えは、サピエンスが集団の力を活用したのに対し、ネアンデルタールは集団の力を活用しきれなかったことにあります。

サピエンスは「アトラトル」という道具を使用していたと言われています。

これは手で持ち、先の部分にヤリを引っかけて、テコの原理を使って投げる投てき具でした。

手で投げるよりも飛距離にして二倍以上、破壊力は十倍にもなります。

これによって獲物に気づかれず、遠くから狩りができるようになり、圧倒的に効率的に狩りができるようになったと想像できます。

さらにそれだけでなく、サピエンスの道具は小型で複雑なものへと、どんどん改良が進み進化していきます。

一方でネアンデルタール人の石器は極めてゆっくりとしか進化しませんでした。

遺跡を比べて見るとネアンデルタール人は十人~二十人くらいの家族で生活していたのに対し、サピエンスは四百人~五百人の大集団で生活し、宗教などの痕跡も見られました。

また、何百キロ先の様々な部族と交流し、コミュニティを形成するなど協力関係を築いていました。

そして、この協力関係の中で、技術をシェアし、さらに技術に磨きをかけていったのです。

我々の祖先たちが生き残ることができた秘密は、実はその弱さにこそあったと考えられます。

弱いからこそ、安全な狩りを行うことができる道具を生み出し、仲間同士で力を合わせる「協力関係」を築きました。

結論をいうと、ネアンデルタール人のように個々が優れているだけではダメなのです。

個々が優れてることだけで成り立っている組織やコミュニティは、そこから進歩することがなくなっていまいます。

個々が劣っていることを自覚している組織やコミュニティは、それを補うために工夫、改善を行い、それをみんなでシェアをすることによって進歩・発達していきます。

クラスで、学年で、全員で前進していくために参考にしてほしい教訓です。

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