過去や現在の自分を基準にして将来の自分を決めつけてしまうような考えを抱くのは、もったいないことです。
過去の自分を基準にして、「どうせ自分はこれくらい」と思ってしまうのはやめましょう。
目標設定が低いのは、自分の可能性や潜在力への信頼が弱いということです。
どんな人でも少しずつ目標を達成して自信をつけていくうち、驚くほどの成長をとげていきます。
あらゆる生物は日々、新しく生まれ変わっています。
この理論的な根拠として、生物学者の福岡伸一が「動的平衡」という理論を提唱しています。
「動的平衡」の考え方はもともと、アメリカの分子生物学者シェーンハイマーによって1937年に発見されました。
シェーンハイマーは、生物を構成する要素であるたんぱく質が、食物由来のたんぱく質とどのくらいの速度で入れ替わるのかを実験によって明らかにしました。
動物が摂取した食物はたんぱく質のままではなく、アミノ酸に分解されてから吸収されます。
吸収されたアミノ酸はさらに分子レベルまで分解されてからだ中に運ばれ、からだの器官や血清の材料として使われます。
一方、器官を構成するたんぱく質は日々、少しずつ分解され、体外に排出されます。
そこに、食事で摂取したたんぱく質の分子が素早く置き換わる。シェーンハイマーはこの流れを発見したのです。
また、その流れがきわめて速いことも見出しました。
ネズミは3日で、身体のたんぱく質のほぼ半分が置き換わります。
人間の体も、たとえば消化管の細胞などはわずか1日で、筋肉の細胞は約2週間で半分ほどが入れ替わります。
細胞内のDNAも壊されながら再構築されており、体全体が絶え間なく更新されています。
数カ月たてば、脳も心臓も分子のレベルで新たに置き換わってしまいます。
シェーンハイマーはこれこそ生命の本質なのだとし、動的な平衡と名づけました。
福岡伸一は、「細胞レベルでは昨日の私は今日の私ではないし、1年も経てば全く別人になっているわけです。だから久しぶりに会う人によく『お変わりありませんね』などと言いますが、実はお変わりありまくりなわけです」と述べています。
受験生は、驚くほど成長します。
人生の中でこれだけ激動の期間もなかなかないと思います。
動的平衡の考え方に立てば、卒業する頃にはみんな別人になっているはずです。
現在や過去の自分の状態から、自分の可能性を決めてしまうのは、可能性を狭めてしまうことになります。
せっかく変化するのであれば、大きく変化し、将来の可能性を広げられるように、自分ができる最大限のチャレンジをする決意をしましょう。