「希望」があるから「不安」が生まれる

進路のことや、勉強のことなど、不安をたくさん抱えている人もいると思います。

自分の選んだ進路で後悔することはないのだろうか、どれだけやっても成績が上がらないのではないか、など、悩みがつきることはありません。

でも、実は「不安」というものは「希望」と表裏一体のものです。

どうやったら自分の「不安」と上手に付き合っていけるか、「不安」を「希望」に転換していけるか、ということを考えていく必要があります。

そのためには、人間の脳のしくみを知る必要があります。

人間の脳のうち、進化の過程で一番成長したのは、大脳皮質の「前頭葉」という部分です。

前頭葉は、人間以外の動物では、ほとんど発達していない部位ですが、かつて科学の世界の中で、その役割が軽視されてきた時代がありました。

鉄パイプが前頭葉をほぼ貫通してしまうような事故に遭遇したのに、そのまま歩いて病院に行くことができた、という人がいたことなどが理由です。

今は禁止されていますが、かつては前頭葉の一部を切除する「ロボトミー手術」というものが行われてきました。

ロボトミー手術で前頭葉の一部を切除すると、不安、うつ状態、強迫観念、激しい感情を伴う妄想などを取り除く上で有用であるとされ、2万人以上もの人がこの手術を受けました。

この手術法はポルトガルの神経学者エガス・モニスによって開発され、彼はこの功績により1949年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

ただその後、前頭葉は「人間性」というものに、ずいぶん関係のある部位だということが、研究が進むにつれてわかってきたのです。

前頭葉のある部位に損傷が起きると、いっさいの不安がなくなる代わりに、「後々のこと」について考えることができなくなるという症例が多数出てきたのです。

ロボトミー手術を受けた人の中には、廃人同然となってしまう人もいて、現在では「史上最悪のノーベル賞」と評されています。

こうした事例から「不安がなくなる」「将来を考えない」という2つのことは、密接に結びついているということがわかったのです。

さて、ここからが「やる気」に関係のあることです。

人が行動を起こす動機としては、「希望」と「不安」の2つは、それぞれプラスの要因と、マイナスの要因として分類されています。

しかし、そのプラスとマイナスは、お互いに深く関わり合いがあるのではないかということです。

「本当に、不安で不安で仕方がない」という人が、前頭葉の特定の部分を切り取ったとしたら、不安がなくなるかわりに「後々のことを考えられなくなる」というわけです。

ですから、ロボトミー手術をしなくとも、人間を「だめ人間」にするのは簡単なのです。

甘やかして全部面倒を見て、何も不安を感じないような状態にしてやればいいのです。

そうすれば、自立心など絶対に生まれません。

欲しいものは全部買い与えて、難儀なことは全部避けさせ、達成が困難なことには絶対にチャレンジさせなければいい。

そうすれば、絶対に無能な人間になります。

「目標が困難であり達成できるかどうかわからない」、という状況は不安を生みますが、その不安こそが成長の原動力となるのです。

不安やストレスが大きくても、上手につきあって希望に転換し、努力を続けていくことができるかどうかで、どれだけ成長できるかが決まるということです。

自分の不安をネガティブなものとして捉えるのではなく、希望と表裏一体のものとして捉えて、どんなに不安であっても、それに打ち克つだけの努力を続けていきましょう。

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