私たちの脳は、情報を何度も入れ込む(学習する)よりも、その情報を何度も使ってみる(出力する)ことで、長期間安定して情報を保存することができるようになっています。
世界でも権威のあるアメリカの学術雑誌、Science(サイエンス)。
この雑誌で発表された、アメリカのパデュー大学のカーピック博士の論文は非常に興味深いものです。
ワシントン大学の学生を使って、スワヒリ語40個を覚える実験をしました。
学生を4グループにわけて、それぞれ違う覚え方をして違う方法でテストする、という実験です。
①第一グループはテストをして、一つでも間違いがあれば、40単語全部を学習し、40単語全部についてテストをする。
②第二グループは、間違いがあれば、間違った単語だけ学習し、40単語全部についてテストをする。
③第三グループは、一つでも間違いがあれば、40単語全部を学習し、間違った単語についてだけテストをする。
④第四グループは、間違いがあれば、間違った単語だけ学習し、間違った単語についてだけテストをする。
図にまとめると以下のようになります。
| 学習 | テスト | |
| ① | 全部 | 全部 |
| ② | 間違ったものだけ | 全部 |
| ③ | 全部 | 間違ったものだけ |
| ④ | 間違ったものだけ | 間違ったものだけ |
第一グループが一番「まじめ」で第四グループが一番「手抜き」ということになります。
それぞれのやり方でテストをした後、しばらく間を置いて、もう一度テストをすると、劇的な差がつきます。
| 学習 | テスト | 結果 | |
| ① | 全部 | 全部 | 81% |
| ② | 間違ったものだけ | 全部 | 81% |
| ③ | 全部 | 間違ったものだけ | 36% |
| ④ | 間違ったものだけ | 間違ったものだけ | 36% |
第一グループ(「まじめ」グループ)の正解率は81%。第四グループ(「手抜き」グループ)の正解率は36%となりました。まあ、これはある意味あたりまえの結果です。
さて、問題は、第二グループと第三グループはどういうふうになったかです。
第二グループの正解率は81%(「まじめ」グループと同率)で、第三グループの正解率は36%(「手抜き」グループと同率)でした。
第二グループと、第三グループの差を分けたものは、「全部テストをしたか、間違ったものだけしかテストしなかったか」という違いです。
第二グループは、出力を増やしたこと(40単語全部テスト)で一番まじめなグループと同じ結果になり、第三グループは出力が少なかったため(間違った単語だけテスト)に一番手抜きをしたグループと同じ結果になってしまったのです。
記憶を再生して出力した回数の差が、記憶の差を分けるということです。
「学習」は脳への入力(インプット)です。
「テスト」は脳からの出力(アウトプット)です。
脳の機能は「出力」を基準にして、そのパフォーマンスを変化させます。
平たく言えば、「使ったもの勝ち」ということです。
受験生が陥りがちな間違いが、インプットの作業ばかりしてしまうということです。
インプットばかりだと、何回やっても短期記憶→長期記憶に移行しません。
インプットした知識を何回も取り出すことで、記憶が強くなり、長期記憶へと移行します。
英単語など、記憶系の勉強はアウトプットをしっかりやって、知識を定着させることを重視していきましょう。