大学生にとっての勉強は本を読むことです。
ゼミではとにかくたくさんの文献にあたるように教授から言われます。
英語の文献も多いので、高校時代になぜ英語を勉強しなければならないのかということがこのとき心底理解できます。
人文科学でも社会科学でも、先行研究は英語の文献がとにかく多いです。
自分の専門分野以外の本も読みます。
大学には「教養主義」と言われる考え方があり、「これは読んでいて当然」「これを読まない人間はバカである」というような常識があります。
読んでいないと恥ずかしい、という感覚です。
高校時代にやった古典的名作とよばれる作品の多くを読みました。
詳しくは19世紀文化史の授業で語っています。
古典的名作と呼ばれる作品は、何百年も残る「普遍的な何か」があるものです。
この「普遍的な何か」を追求するために悪戦苦闘しながら読みます。
自分は1つのテーマに関してできる限りたくさんの書籍にあたり、その中で自分が「面白い」と思えるエッセンスを抽出していくことが、読書のあり方だと考えています。
そう考えるようになったのは、大学生のときに大阪にある司馬遼太郎記念館に行ったことがきっかけでした。
司馬遼太郎が好きで、『坂の上の雲』、『竜馬がゆく』、『燃えよ剣』など手当たり次第に読みました。
司馬遼太郎作品はなぜこんなにおもしろいのだろう、という興味・関心に突き動かされて、大阪の記念館を訪れました。
司馬遼太郎が亡くなった後、有名な建築家の安藤忠雄が建設したこの記念館には、生前の膨大な蔵書が展示されています。
衝撃を受けたのが蔵書の豊富さです。
その数およそ4万点。
個人の蔵書の規模としては考えられないレベルです。
司馬遼太郎の作品を書くスタイルは、とにかくたくさんの書籍を集め、そこからエッセンスを抽出していくというものです。
『竜馬がゆく』を執筆中には、神田の古本屋街で書籍の買い付けが行われました。
トラック数台を動員して大量の書籍が運び出され、神田の古本屋街から竜馬に関する書籍がすべて消えたそうです。
これだけたくさんの書籍から、エッセンスを抽出していくからこそ、司馬遼太郎の作品は面白いのだということを、記念館で実際に蔵書に圧倒された際に感じました。
同じく大学生のとき、高橋世織先生の映像文化論の講義が毎回面白く、研究室を訪問したことがありました。
研究室は足の踏み場がないほどでした。
部屋はデスクのスペース以外、すべて本が天井ほどの高さまで積み上げられていました。
講義は映画の歴史から毎回脱線し、様々な学問分野に及ぶのですが、なぜこれほどまでに知識があふれ出てくるのだろう、というのが研究室を訪れた時にはじめて理解できました。
自分はこうした経験から、高校までの勉強の仕方との違いを理解しました。
大学は高校までとは違い、先生に習うことよりも、自分で勉強することが中心になります。
特に、書籍から学ぶ、というのが勉強の基本路線です。
たくさんの書籍にあたりながら、自分の興味・関心を分析し、掘り下げることが出来るかが最も大切です。
高校までと違うのは、とにかく徹底して量にあたらないと、自分の必要とする情報に巡り会えないということです。
10冊読んで1冊本当に面白いものが見つかればラッキー、という感覚です。
1冊の中で、たった1文がひっかかってくる本もあります。
そういう1文を見つけるためにも、たくさんの本を読む必要があります。
精読と速読は相反するものではなく、精読する本や、精読する部分を探すために速読が必要なのだと考えています。
1冊を完璧に仕上げるのが高校までの勉強であるとすれば、大学の勉強は大量の文献にあたって、その中から自分に必要な情報のエッセンスを抽出していくというスタイルです。
大学の教授は一方的に授業で教えてもらう存在、というよりも自分がたくさん書籍にあたる中で疑問に感じたことにヒント(答えではありません)を与えてもらう存在という位置づけです。
疑問を持って、高橋世織先生のところにいくと、先生はいつも「だったら、こういう本を読むと良い」と言ってヒントを与えてくれました。
教授も1対多の関係になってしまうと教えられることが限られてしまいますが、しっかり自分で勉強して1対1の関係を築いていくといろんなことを教えてくれます。
逆に、こういう1対1の関係を築かないと教授は本当に必要なことを教えてくれないので、ただ講義を聴いているだけ、というのは本当にもったいないです。
2限の講義の後に質問に行くと、「だったらこのまま昼飯に」と言って昼食をご馳走になりながら話を聞いたり、5限、6限の講義の後であれば「だったらこのまま夕飯に」といって夕飯をご馳走になってしまったこともありました。
今となっては大学時代の良い思い出です。
まずは自分が入学する学部の入門書を読むことからスタートしましょう。
一冊読むと、関連する書籍が読みたくなり、自分の興味関心が磨かれていきます。
面白い本を見つけたら、ぜひ教えてくださいね。