夏休みの勉強で最も大切なこと

第一志望に合格した卒業生と話をしたときのこと、「自分が合格した秘訣は何だと思う?」という質問に対する答えが、「毎日、同じ時間に、同じ場所で、同じことをする」というものでした。

この言葉は、何かを達成しようとするときには、「習慣」(ルーティン)というものが最も大切なものであるということを物語っています。

毎日、歯を磨くように勉強する習慣がついていれば、自然に力はついていきます。

そのために最も大切なのは、朝、決まった時間に起きることです。

特に、夏休みの勉強は「規則正しい生活が9割」と言っても過言ではありません。

規則正しい生活というのは朝起きる時間でほぼ決まります。

朝、友達と電話をしてお互い起きたかどうかを確認しあうなど、自分が弱いということを自覚している人ほど、クリアするために工夫を惜しみません。

昨晩遅くまで勉強したから、といって次の日の朝自分を甘やかすと、どんどん生活リズムが崩れていきます。

朝、必ず決まった時間に起きるためのしかけを作ってください。

次に、勉強を開始するタイミングをそろえることです。

食事の時間が終わったら勉強する、お風呂に入ったら勉強するなど、開始するときの条件を毎日同じにすることです。

そして、時間によって場所を決めることです。

「この時間は学校で勉強する」、「この時間は図書館で勉強する」、「この時間はリビングで勉強する」、「この時間は自分の部屋で勉強する」ということを決めて実行します。

こうしたルーティンの積み重ねが、成績を上げるための大事な条件です。

ルーティンの大切さについて、評論家の内田樹氏は、以下のように述べています。

“お稽古をちゃんとやって、規則正しい生活をして、身体的に健康で、人間関係が円滑で、家の中が平穏であれば、そうでない場合よりも、僕は仕事が捗る。

だから、「アカデミック・ハイ」をまた経験したいから、僕はとりあえずよく寝て、健康管理に気づかって、同僚と仲良くして、家族をいたわって…という平凡な暮らしを全力で維持しているわけです。

僕がルーティン大好き人間であるのは、ルーティンそのものが好きだからじゃないんです。

そうじゃなくて、ルーティンを守って暮らしてないと、絶対に「アカデミック・ハイ」は訪れこないということがわかっているからなんです。

ケーニヒスベルク大学で教えていた頃、イマヌエル・カントは毎日決まった時刻に決まった道筋を散歩していたそうです。

あまりにも時間が正確なので、散歩の通り道にある家では、カントの姿を見て時計の狂いを直したという逸話が今日に伝えられています。

わが身を大哲学者に引き比べるのがまことに僭越至極であることは重々承知しておりますが、僕にはカントの気持ちがわかります。

「それ以外の条件をすべて同じにしておく」というのは、脳内でふっと未聞のアイディアがわき上がってきたときに、それを取り逃さないために必須の心得だからです。

天文学者が彗星を探すときに、毎日、同じ時刻に、同じ方位の星座を撮影した写真を重ねてみるのと同じで、「それ以外の条件がすべて同じ」であるときにだけ、わずかな変化は検出できる。

知的な活動においても同じです。昨日は脳内に存在しなかったアイディアをその萌芽常態においてとらえるためには、それ以外の生活条件を全部同じにしておくに如くはない。

規則正しい生活をするのが、脳内麻薬物質の大量分泌をもたらすためには、最も効果的なんです。”

(内田樹『最終講義』)

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