「越えられない壁」はない

1マイル4分の壁を初めて破ったのは、イギリスのバニスターという陸上選手です。

長い間、1マイル4分を切ることは人間には不可能というのが世界の常識とされていました。

世界中のトップランナーたちも「1マイル4分」を「brick wall(れんがの壁)」として「超えられないもの」と考え、エベレスト登頂や南極点到達よりも難しいとさえ言われていました。

しかし、オックスフォード大学医学部の学生であったバニスターは、トレーニングに科学的手法を持ち込み、自分のコンディションを科学的に分析しました。

そして、2人のチームメイトをペースメーカーにしてついに、4分の壁を破ったのです。

46日後、バニスターのライバルだったオーストラリアのジョン・ランディが3分58秒で走り、バニスターの記録は破られました。

その後不思議な事に、1年後までにランディを含め23人もの選手が「1マイル4分」の壁を破ったのです。

最初から絶対無理だと決めてかかっていたことが原因で、実際に記録を破る力があっても力を出し切れないまま失敗していたのです。

自分は世界史を教えていますが、世界史の最も面白い部分は国境を越えた影響の歴史です。

世界史を勉強していると、精神的な波及効果というものがとても大きいということがわかります。

ウィーン体制下において、ヨーロッパの市民階級が自由を求めて立ち上がろうとした動きは、封建制力によって徹底的に叩きのめされました。

何度立ち上がっても叩かれる。

市民階級の希望の火は消えかけていました。

ところが、ラテンアメリカの独立運動が成功し、ギリシア独立戦争が成功すると、自由主義の気運が飛び火し、フランスで七月革命が起こります。

フランス七月革命が成功すると、ベルギー、ドイツ、イギリスなど、次々に自由主義の気運がさらに飛び火をし、ベルギー独立、ドイツ関税同盟、第一回選挙法改正など、次々に自由主義の動きが成功していくのです。

こうした事例が世界史の中にはたくさんあります。

人類はこれまで「越えられない」とされた壁を越えることで進歩してきました。

「越えられない」というのは、これまでに「越えられなかった」だけなのです。

未来は誰にも分らないし、自分で勝手に「越えられない壁」を作ってはいけません。

どんな壁であっても乗り越えて見せる、という気概を持ちましょう。

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