「恩返し」ではなく「恩送り」

「恩送り」という言葉があります。

よくしてもらった人にお返しするのではなく、別の誰かにお返ししていくことです。

その人もまた別の誰かにお返しし、 善意のリレーが次々とつながっていくのです。

人間は生まれてからずっと、その大きなリレーのなかで支えられている。

延々と続くそのリレーのなかで、誰かからバトンを受け、そのバトンを誰かに渡す。

自分がパッサーであることを自覚し、命の責任を果たしていくような生き方です。

このことをテーマに描いた映画が「ペイフォワード」です。

中学一年生になったばかりのトレバーは、社会科のシモネット先生の授業で、ある課題を出されました。

think of an idea

to change our

world – and

put it into ACTION!

世界を変える方法を考え、それを実行してみよう!

トレバーはこの課題を真剣に考えました。

どうすれば世界を変えられるのか。

トレバーが思いついた方法は、「自分の受けた善意を、その相手ではなく別の3人に渡す」というもの。

3人が9人に、9人が27人に、27人が81人に、81人が243人に…どんどん増えていって「善意の連鎖」が起きてきます。

その結果、世界がよりよく変わるという考え方です。

トレバーは、浮浪者であった薬物中毒の青年を家に招いて食事を共にするなど、自らの課題を実行に移します。

ですが、思った通りに事は進みません。

トレバーは、父親が母親に暴力をふるって家を出て行ってしまい、母親がアルコール依存症という複雑な家庭環境に育ちました。

このことから、トレバーは、否定的な世界観を抱いています。

自分の行った成果をすぐに見られず、自分のアイディア(ペイ・フォワード)を否定しまい、挫折しかけます。

「善意の連鎖」は夢物語に終わるように思われました。

ところが、トレバーの知らない所でペイフォワードは広がっていたのです。

トレバーの住むラスベガスから400km以上離れたロサンゼルスで「善意の連鎖」が起きていました。

そして、このことを取材したいと考えた新聞記者が善意の連鎖をさかのぼってトレバーに会いにやって来たのです。

物語のラストは衝撃の展開なのですが、これを書くとネタバレになってしまいますね。

大変素晴らしい映画ですので、受験が終わったら観てみてください。

コメントを残す